第3回「月の夕べ」のおわりに
お二家族のことを書いてみようと思います。
お話を聞かせてもらっていますと、宮沢賢治の「注文の多い料理店」の序文を思い出します。
これらのわたくしのおはなしは、
みんな林や野はらや鉄道線路やらで、
虹やつきあかりからもらってきたものです。
Hさんへのお手紙
Hさんの絵『おいしいパン屋さん』を見せてもらって。
「勢い」というとちがうようにも感じられますが、何かが、内側からはみだすように、外に向かって咲きはじめている、と思いました。
この絵には「花」は一つも描かれてはいないのですが、私は「咲く」という感じを持ちました。
「こんなところにも花!」
「ここにもつぼみ!」というように。
咲きたくて咲きたくてならないというように。
さらさらした草の先が伸びています。
この絵は、内に満ちているHさんそのものなのでしょうね。
絵をみせてもらって、ありがとう。
Iさんご家族の「食の温かな空間」
仕事柄か、食事の下ごしらえの一つひとつに、それぞれの生活がでることに気づいてきました。じゃがいもの皮むきにも「人」がでます。「個性」といえるかもしれません。
そのようなことを考えていまして、ふと、Hが料理を手伝うとき、どういうことを考えているのかと思いました。そのような気持ちで、
二人で台所に立ちました。
「パパ、じゃがいもすべっちゃうね」
「指切らないようにしないとね」
「小さくむいていくと、いいみたいなんだけど、これじゃパパのとはちがうね」
そんな何気ないことですが。
Hには自分の生活をまわしていく。そういう手数を感じて欲しいという気持ちもあります。が、それより、温かい気持ちになりました。
Iさんのお話より
12月の「子どもたちの月の夕べ」のおさそいは、12月10日頃、ホームページに掲げます。たのしみにしております。