二日の2と二匹の2  中3:弘太

 

数学の先生が黒板を指しながら「ここわかんない人はぶっちゃけ終わりです」って、言ったことがある。数学が得意な人も、得意じゃない人も聞きたくない言葉だった。それからだった。「あれ、自分は数学できるっていうのかな?」って思い始めたのは。確かにテストでは、95点は取れる。でも授業は「つまんねえな」って思いながら聞いている。

 

自分にとっての、つまんなくない数学は教えすぎない数学なのだと思う。そう考えだしたキッカケは、林先生のところにある古い本からだった。『高校生になったら』田代三良著 それには、人類が「二日の2と二匹の2が同じあることに気づくまでには、限りない年月が必要であった」と書かれていた。以来、もし自分が幼稚園受験の頃、母に数を教えられていなかったらと思うと、もったいなかったなと感じるようになった。だからと言って、今更どうにもならないのかもしれないけれど、せめて疑問や驚きを大事にする学校であったらと思う。

 

今のところ、自分が数学のテストができるのは「簡単にするにはどうしたらよいか」を考えるからだと思う。林先生は「原理的に吟味することができるから」だと言ってくれるけど、そうなのかなと思う。でも、やっぱり95点のテストより「二日と二匹の2は、同じ2なのか」を考える少年でいたかったと思ってしまう。