「理解すること」 16歳:S

 

国際ユース作文コンテスト 入選

 

なんてカラフルなパレードだろう。第一に思った。そして、そのパレードが行われているのが渋谷のド真ん中である事に気がついた。見た事もない程のカラフルなパレードに目も心も奪われた。

 

中学2年の春。こうして私はLGBTに出会った。何度か行ったことのあった大都会渋谷で見た、初めてのパレード。いつもなら、目についた言葉が気になって、家に帰ってまで調べることは無かったが、今回に限っては、印象的なレインボーカラーが忘れられなかった。レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー。聞いた事のある言葉が二つ。初めて見た言葉が二つ。この四つの言葉に私はどんどん興味をもっていった。

そこから一気に詳しくなっていった。中学3年の春、品川区で開催された30人程のLGBTの集会に私は参加した。その頃には、LGBTの人々が世間一般で受けている不適切な扱いや差別についても多少は知っていた。だからどれほど暗い集会なのかと身構えていた。けれども実際は私の予想と裏腹に参加者全員が笑顔だった。そして当事者でもその家族でもない私を受け入れて、自分たちの現状を話してくださった。初めてお話した当事者の方々。全然気持ち悪いなんて思わなかった。むしろ素敵だった。自分のことを貫いている姿に憧れの念を抱いた。けれども、笑顔だけでは語れない悲しい事もたくさんあった。涙も見た。この現状を変えたい。LGBTの人たちが世の中で当たり前に受け入れられるようになるためのお手伝いがしたい、そう思った。

 

今、私はそのための第一歩と二歩を踏み出した。第一歩は周りの人にLGBTの事を知ってもらうこと。そのために学校内外の二つの英語スピーチコンテストでLGBTの現状について違う視点から発表した。私が嬉しかったのは、学校内のスピーチコンテストの後だった。友人たちが私にLGBTについて聞いてくれたことだ。きちんと知ってもらえたと実感出来た初めての出来事だった。

 

第二歩は、アメリカに留学すること。私は今年の8月からアメリカに留学をする。アメリカでは同性婚が法律的に認められていて、多くの著名人が、自分がLGBTであることをカミングアウトしている。そして驚くべき事にアメリカの高校にはLGBTが集まって活動するクラブが存在するのだ。日本じゃまだまだあり得ないことが既に当たり前になっているアメリカに行き、行政面や司法面からアメリカでの当たり前を日本でも当たり前にするために何をすべきか考えたいと思っている。

 

まだまだ知識不足の私だが、まず世間の人に、自分の知らない事に対して気持ち悪いと思わないようになって欲しいと思っている。実際、私の母も詳しく知るまではLGBTのことを良くは思っていなかった。むしろ集会に行くなと言われていた。でも、集会に参加した時の事を事細かに伝えると、母は私たちにも他の人と違う所はあるものね、多少の違いで悪く思っていたことが恥ずかしいと言ってくれた。だから私は母のように多くの人にLGBTについての真実を知ってもらいたい。ニュースで得るだけの情報ではなく、当事者の人の身に起こっていること、それを聞いて受け入れられない人はいないのではないかと思う。

今はスピーチコンテストという方法でしか活動できていない私だけれども、アメリカ留学で得たこと、そして大学での司法の勉強を通して、これから先もっとたくさんの可能性を当事者の方と作っていきたいと思っている。